クラウドでStable Diffusionを使えるサービスの比較検討

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1. はじめに

近年、画像生成AI「Stable Diffusion」は、イラストや写真風画像など多彩な表現ができることで人気を集めています。
「自分でStable Diffusionを使ってみたいけど、高性能GPUを搭載したPCを持っていない…」という方も多いのではないでしょうか。

そこで注目を浴びているのが、クラウド上でStable Diffusionを利用する方法。この記事では、ローカル環境クラウド環境の違い、そしてクラウド上のStable DiffusionサービスをSaaS型クラウドGPUレンタル型に分けて、それぞれの特徴や評価を比較・検討してみます。

2. ローカル環境とクラウド環境の違い

2-1. ローカル環境とは

  • 自分のPCにNVIDIA製のGPU(近年はRTX 30/40シリーズなど)を搭載し、Stable Diffusion用のソフトウェア(Automatic1111 Web UIなど)をインストールして利用する形
  • 最大のメリットは、制約なくあらゆる拡張機能(ControlNet、LoRAなど)をインストールして自由に使えること
  • デメリットは、高価なGPUを購入・メンテナンスする必要があり、電気代やPCの騒音・発熱などの負担があること

2-2. クラウド環境とは

  • 高性能GPUが搭載されたサーバーを、インターネット経由で利用する形
  • クラウド事業者やサービス提供元が用意したGPUリソースをオンデマンドで使用するため、GPUを自前で購入しなくてよい
  • サービスの形態によっては、手軽さ重視だったり、自由度重視だったり、大きく性格が異なる

3. クラウド型Stable Diffusionの2つの形態

クラウドでStable Diffusionを使うサービスを大まかに分けると、以下の2種類があります。

3-1. SaaS型

  • サービス提供者があらかじめ用意したWeb UIや機能のみを使う形式
  • ブラウザでPromptを入力するだけで画像が生成でき、セットアップ不要・操作が簡単
  • 代表例:DreamStudiogetimg.aiPlayground AI など
  • 拡張機能カスタムモデルの導入は(運営が対応していない限り)できないことが多い

3-2. クラウドGPUレンタル型

  • GPUインスタンス(仮想マシン)を丸ごと借りて、その中で自分自身が自由にソフトをインストールできる形式
  • 自由度はローカル環境とほぼ同等で、ControlNetやLoRAなど、好きな拡張機能を使える
  • 代表例:ConoHa AI CanvasRunPodPaperspaceなど
  • 料金は時間課金月額が中心。自由度が高い分、ある程度のセットアップや知識が必要

4. SaaS型・クラウドGPUレンタル型、それぞれのサービスまとめ

ここでは、代表的なサービスを挙げて、それぞれの特徴を簡潔にまとめます。

4-1. SaaS型サービス

  1. getimg.ai
    • 多機能(Inpainting・Outpainting・Upscale)を備えた高性能Webアプリ
    • ControlNetやLoRAなどは限定的対応だが、随時拡張中
    • 比較的直感的なUIで使いやすい
  2. Leonardo.ai
    • 多数のカスタムモデル・LoRAが公式から提供されており、ファンタジー系イラストなどに強み
    • ゲームアセット生成向けにも使いやすい
  3. Playground AI
    • シンプル操作、無料枠多めで初心者に優しい
    • ControlNetなど高度な拡張には非対応
  4. DreamStudio (Stability AI公式)
    • Stable Diffusion公式サービス。最新モデルの更新が早い
    • シンプルな機能のみ対応し、拡張は使用不可
  5. 生成AIGO
    • 日本語UIでInpaintingも使える
    • ControlNetやLoRAなどは非対応、カスタムモデル導入は不可
  6. ClipDrop
    • 背景除去や画像リライトツールがメイン
    • 生成機能はあるが、拡張性は低め
  7. Cアート (シーアート)
    • 国産、日本語UI。基本機能のみ対応
    • 将来的な拡張に期待
  8. Mage.space
    • Promptを入力してサクッと生成できる手軽なサービス
    • 拡張機能はほぼなし
  9. NightCafe
    • 複数のモデル(DALLEやStable Diffusion v1/v2)を切り替えて使用
    • 高度な拡張機能は未対応

4-2. クラウドGPUレンタル型サービス

  1. ConoHa AI Canvas
        • GMOインターネットグループ運営。日本語サポートがある
        • GPUサーバーを時間課金で借りて、JupyterLabやAutomatic1111を導入可能
        • Stable Diffusionに限らず、自由度はローカル環境並み
        • おすすめ度:8.5/10(後述の評価ポイント参照)
      • RunPod
        • コミュニティテンプレートが豊富。Automatic1111 + ControlNetなどをワンクリックで起動できる
        • 料金が安価なホストも多いが、リソース安定性はホスト次第
      • Paperspace (Gradient)
        • Stable Diffusionのテンプレートが用意されており、GUI操作で比較的簡単に立ち上がる
        • 無料枠は混雑しがち。有料プランは時間課金
      • Google Colab (Pro / Pro+)
        • Notebook形式で人気が高く、Stable Diffusion用のColabノートブックが多数
        • セッション切断や混雑によるGPU割り当て不可があるのが難点
      • AWS / Azure / GCP
        • 大手クラウド(IaaS)でGPUインスタンスを自由に構築
        • 企業・研究用途には最適。個人には料金がやや高い傾向
      • Lambda Labs
        • AI特化でチュートリアルが充実。PyTorchなどがプリインストール
        • 料金はやや高め、英語メインのサポート
      • Vast.ai
        • 個人が保有するGPUを貸し出すマーケットプレイス
        • 安く済む場合もあるが、安定性や品質はホスト次第。初心者にはやや難易度高め

      5. 評価ポイントとスコアの付け方

      クラウド型Stable Diffusionサービスを比較する際、以下の要素を考慮して10点満点で総合評価をしています。

      1. 機能・自由度
        • Prompt/Negative Promptの設定やInpainting/Outpainting、拡張機能(ControlNet, LoRA)の有無など
      2. 操作性・UI
        • 初心者にも分かりやすい設計か、使い方に迷わないか
      3. コスト・プランの分かりやすさ
        • 時間課金 or 生成枚数課金か、無料枠の有無、料金が高すぎないか
      4. GPUの性能・選択肢(クラウドGPUレンタル型のみ)
        • A100/3090/T4など、目的に合ったGPUを選べるか
      5. サポート・情報量
        • 日本語/英語対応、コミュニティやチュートリアルの充実度

      6. SaaS型サービスの評価まとめ

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      7. クラウドGPUレンタル型サービスの評価まとめ

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      ConoHa AI Canvasの詳細へ


      8. SaaS型とクラウドGPUレンタル型を横断した総合評価

      最終的に、「誰が・何を重視して使うか」で最適解は変わります。目安として、**総合的な評価(機能・操作性・コストなど)**を一表にすると、ざっくり以下のようになります。

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      8-1. どう選べばいい?

      1. 拡張機能をとことん使いたい(ControlNet、LoRA、カスタムモデルetc.)
        → クラウドGPUレンタル型がおすすめ。中でもConoHa AI Canvasは日本語サポートがあるため、初めてのクラウド構築にも比較的安心です。
      2. 手軽にInpaintingやOutpaintingもやりたい、だけどコードはいじりたくない
        → SaaS型の高機能系(getimg.ai, Leonardo.ai)がおすすめ。操作が簡単でUIが整っています。
      3. 初心者でちょっと試してみたい
        → Playground AI, DreamStudioなど、無料枠や基本機能が手軽に使えるサービスで十分。

      9. まとめ

      • ローカル環境と比べ、クラウド環境はGPUハードウェアを買わずに試せるのが最大のメリット
      • SaaS型は「Prompt入力だけで画像生成」ができる手軽さが魅力。ただし拡張機能の自由度は低め
      • クラウドGPUレンタル型ローカル並みの拡張性があり、ControlNetやLoRAなど先進的な機能を好きなだけ導入可能。ややセットアップの手間はあるが、ConoHa AI CanvasRunPodなどは環境テンプレートが用意されていて比較的簡単に始められます。

      どれがベスト?

      最終的には、使いたい機能予算・知識レベルに合うサービスを選ぶのが大切です。

      • 初心者ならまずはSaaS型で気軽に触ってみる
      • より高度な拡張を使いたくなったらクラウドGPUレンタル型に移行する
        というステップを踏むのもおすすめです。

      ぜひ、自分の用途に合ったクラウドサービスでStable Diffusionを楽しんでみてください!

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